テストが終わって嬉しい! さっぱりんぐ!
理科:まさかのテスト範囲ヒロシ。広かったよどーしよー(ちゃんと試験範囲確認しろ)
英語:リスニングの序盤の声が(ほぼ全員)聞き取れないと言うアクシデント発生。ひでえ
今日は無意味なまでに部仲間で固まってごろごろ過ごしていました。
ぐりりとわたしとかずっと絵描いてたしね。楽しかったけれども。
それでは失礼致します。アディオス!
「おばかハゲろ鳥のフン落ちろ犬に噛まれて歯型はっきり残れこんちくしょ-!」
大声で怒鳴ると隣でぼおっと頬杖をついたまま明後日の方向を見ていた彼はびくっと身を震わせ、胡散臭そうな顔であたしを見た。
「・・・どうした?」
「いえ、近頃の腐った若者どもへの一喝ですよ」
ほらこれ、と新聞記事を見せる。若者犯罪についてのコラムだ。彼はざっと目を通して、あー、とぼんやり呟いた。
「人の悪いところ見つける暇があったらいいところを見つければいいのに」
「・・・お前はやってるのかよ」
「勿論ですね。愚問ですよ。但野さんは大らかで優しくてー、鈴木さんは動物が大好きですねえ。タナも人柄が良くて何でも笑顔で引き受けてくれるし、他は――」
「俺は?」
彼は頬杖を付いたままにやりと笑った。「俺のはないのかよ?」
「言っていいんですか?」「むろん」
これを言うのは正直恥ずかしかったし難しかった。仲のいい子が急に煙草をすいだして、「止めろよテメー」というのとおんなじくらい気が引けた。けれども彼が望むのならば、あたしは言おう。
「・・・怖くて厳しくて強くて喧嘩っ早くて格好よくて優しいところ、です」
「褒めてねえよね、それ!」
どたっと鈍い音をさせて彼が立ち上がって憤慨したけれど、あたしは笑う。だってそれがあたしの思いつく、あなたの精一杯の褒め言葉なんだから、それがあたしの見た真っ直ぐなあなたなのだから、嘘を並べて作ったあなたの姿よりずっと綺麗。
「ぜんぶぜんぶあなたのいいところなのにー」
「嘘こけや!」
ギャアアっと火を噴きそうな彼を見て、まだ大丈夫だなと思った。
こんなひとがいるなら、まだこの国は大丈夫。但野さんも鈴木もタナも、みんなもいるからきっと大丈夫。ねえ? まだ捨てたものじゃありません。こんな優しい世界に、
あなたがいる世界に生まれてよかったとむしろあたしは思うわけなのです。
「お前のいいところは・・・ねえな」
「まじっすか。ひどいなあ」
足をぶらぶら揺らしながら、にへらと力なく笑う。彼はそれで優しげに笑った。
「なら、ひとつだけ、あるぞ?」
「? なんでしょー?」
「人のいいところを探そうと躍起になれるところだ」
「・・・・・・そうかもしれませんけどね」
だからあなたはやっぱりこの世でいちばん優しい人なのですよ、と、言いたかった。
エーデルワイスにさようなら
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