筆ペンでぐっちゃぐっちゃ塗りました。楽しかったです
なくなると、哀しくなるもの。
それがいなくなってしまうことを分かっているのに、認めたくないもの。
なくなる前までは気付かなくても、なくなればあんまりに大きなその穴に驚くしかないもの。
なくなったあとに、自分を責めずにはいられないもの。
そういうものが、誰にもあるのです。
今は気付いていないでしょうけれど、誰にでもあるのです。
強い人ほど、なおさら、何かひとつのものに深く深く依存しているのです。
この人もそうでした。心も体も強い人でした。
今この人はわたしに見られないようにうつむいて涙を流してらっしゃいます。
強い故に涙を見せられないのならば、そんな強さ今すぐに消してしまいなさいと怒鳴りたくなります。
強がらないで、弱いところをさらけ出して泣いてください。
じゃないと、いつかあなたはパンクしてしまいます。
いっぱいにつめこまれた思い出、ぱん、と弾けてしまいます。
それは哀しすぎますよ、分かっていらっしゃいますか?
いなくなったひとのことをなげいてしぬなんてあなたらしくもないおろかしいことじゃありませんか。
わたしはどうすればいいのかわかりません。
この世の秩序が元通りになっても、この人との溝が埋まるか分かりません。
けれどもわたしはなくなりません。
あなたより先になんて、なくなったりしませんよ。
ですからあなたもわたしより長生きしてください。
矛盾しているかもしれませんが、これがいちばんいいのです。
いつまでも、いっしょに、みんなで。
わたしは消えませんからね。そう言ってみました。
ああ、上等だ。この人はそう言いました。
まだ、ぬるい風の吹く秋のことです。
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