地獄の竜黙示録 後書
「OK牧場」というものをご存知であろうか。
決してガッツ石松の持ちネタではない。心理用語である。
例えば、あなたが友達や恋人と待ち合わせたとする。時間通り、指定された場所にあなたは来た。しかし、相手がいつまでたっても来ない。こういう時にどうするか?
1 忍耐強く待ち続ける
2 相手に対して怒りを覚える
3 もしや時間や場所を間違えてしまったのではないかと不安になる
4 世界全てに嫌気が差し封鎖的になる
この四つの中から選んでほしい。そしてこれが、この「地獄の竜黙示録」の基盤なのだ。
もしあなたが明日、世界が滅ぶと知ったらどうするであろうか?
ありふれた質問だが許してほしい。
猶予なんて無い、明日という無慈悲な時。この中で人は最後に何をするのか? そこから本作は生まれた。どこか世界の破滅を理解して、許容しているのに、エゴイズムに満ち溢れた“最後”の世界。それがこの作品で少し伝われれば本望である。
最後に。
全てが抽象的なこの作品。各々の登場人物の身の上も、世界を創始したと言う“竜”の正体も、そして世界の行く末も謎のままである。それは全て読者たちが創造することであってほしいと思う。もしかしたら世界は滅んでいないのかもしれないし、滅んだのかもしれない。全て読者諸氏の考えに任せたい。
明日世界が滅ぶとしても、幸せに笑って消え行きたい。
【地獄の竜黙示録より うぐいす】
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