今日は一家で人生ゲームしました。
どうにか1位になれましたよ。やったぜー
弟が途中借金手形軽く10枚いきました。
今日もマンションが飛びました。(うぐいす家では設置型の建物が吹っ飛ぶ現象が起きます)
とっても楽しかったです!
それでは失礼致します。アディオス!
「・・・・・・うお」
よろよろと起き上がり、縁側に出て、そこにどっかりと座り込んだ。目の前にでかでかと場所を占領している、昨日憎たらしいほど気持ち良さそうに泳いでいた偽物の魚たちは、今日は風が無いのでしょんぼりしている。少し頭を動かしただけで、脳内が鈍く揺れた。昨日は飲みすぎたらしい。あの後大騒ぎだったからな。ガンガンする頭をどうにかしたくて頭をかいていると、上から声が降りかかってきた。
「あっ、起きたんですか。お早う御座います」
手を止めて目を上げると、籠いっぱいに洗濯物を積んだこいつが、廊下を向こう側からよろよろと進んでくる。今にもこけそうだったので、しっかりしろよマイブレイン! 直訳俺の脳! みたいな叱咤を自分にしつつ重たい頭ごと体を起こして、洗濯籠を奪った。洗濯籠は意外と軽くて、こんなんでよろけるお前ハッ! 馬鹿め! などと心の中で嘲笑した。性格悪いな俺。しかしこいつは少し吃驚したように目を見開いた後、ふわりと微笑んで、「有難う御座います」と言った。オオイもう少し人に敵対心を持とうな。今の俺相当イヤミーな顔してたと思うぞ俺。
「昨日のケーキは残念でしたね~。食べてみたんですけどっ、美味しいとはね、まあ・・・」
「食ったのか、お前・・・・・・」
呆れながらも、軒下に置いてあった履物を足に突っかけて、こいつと一緒に中庭の中央へ行く。昨日のケーキというのは俺の顔に直撃したトマトと卵黄とサラダ油などなどの融合作品の事だ。大体誰だったんだあのケーキ爆弾の犯人はチクショウ。大体目星は付いているが気が付けばどこかに消えている奴だからどうしようもない。
「食べてみればよかったのに、あなたお酒ばっかりで」
つやつやと光る黒髪を今日は珍しく下ろしたまま、こいつは勢いよく洗濯物を広げた。白いシャツだった。
「・・・食いたかねーよ」
「食べ物への冒涜ですよー! 天に召されたマヨとケチャに謝れ高血圧」
「だから何で高血圧なんだよ!?」
「そーやって、すぐ怒るとこ」
てきぱきと小さな手を動かして、こいつは洗濯物を次々と干していく。
「カルシウムと睡眠時間足りないから。もっと寝て下さい、牛乳ぐっびぐび飲んで下さい」
俺の抱える洗濯籠も、どんどん軽くなっていって。
「折角の記念日なのに、そんな日まで働かないで、あたしとかに押し付けて下さいよ。頼りにして、くださいよ」
声はどんどん小さくなっていくのに、俺の心に変に響いて。
「何だか、馬鹿みたいじゃないですか、あたし。勝手にあなたのこと心配して、あなたは『フッそんな心配無用さベイビー』って顔してすたすた歩いていっちゃうし、本当、間の抜けたお馬鹿みたい」
真っ白なシャツが並ぶ中、こいつの髪だけが黒くて。
「あたしは、こんなにもあなたがだいすきなのにねぇ」
一瞬、全てが止まったような気がした。
にこっとこいつは笑って、踵を返して、ついでに俺の腕から洗濯籠をもぎ取って、歩き出した。知らず知らず俺の手はこいつの細い手首を掴んでいて、俺の握力じゃあこの手首折れるな、と思った。でも今言うべき事はそれじゃなくて。でも、思いつかなくて。
「俺も、鯉幟の片付け手伝うから」
ようやく言えたと思ったらこうだった。それでもこいつはにっこり、弾けそうな、嬉しそうな微笑みで、
「有難う御座います」
と、俺の手を握ってきた。
少し嬉しくなって、俺はこいつの手を握り返した。
ほんの少し風が吹いて、白い洗濯物と黒いこいつの髪と、
こいつが俺にそっくりだと言った、真っ黒な鯉幟が風に揺れていた。
風に靡け、鯉幟
(そうして叶うる限りこのままでいたいというのが俺の本望である)(というのは誰にも言うまい)
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