はい、これです。MEAT BALLさん寄贈小説タイトル。
タイトルと本編の一人称が違いますけど、気にしたら崖から落とします落ちますよ!
「起きたのか?」と声がして、あたしの頬を何かが撫ぜた。
ぼーっと脹れた頭で目を開ければ、そこにはあなたの姿。意地悪い、でも優しい笑みを浮かべて、その大きな手であたしの髪を梳いた。
「・・・・・・おはよーございます」
「お早くねえ。今もう10時。分かってんのか?」
口ではとげとげした事を言いながらも、あなたは優しく笑うから、怖くない。
「昨日は遅かったですからねえ」
「あー、まあ、それについては悪い。働かせすぎたな」
あなたはばつが悪そうに頭をかいた。あたしはにこっと笑って、あなたの頭を撫でる。短くてぼさぼさした髪の感触が気持ち良かった。まだ頭は冴えきらないけど、あなたの顔は分かる。
「だいじょーぶです」
ちゃんと笑おうと思ったのに、にへらと変な顔になってしまった。あなたは眉を八の字にして溜息を吐いた。そうしてまだ横になったままのあたしの頭を撫でる。よくみんなに頭を撫でられるあたしは、そうされると眠くなる癖があって、今回も例に漏れず瞼が重くなりだした。あたしの頭の中はぼうっと膨らんで、それはまるで朝食べ損ねた。
「眠いです・・・」
どうにか言葉を絞り出すと、あなたはまたにっと笑ってあたしの横に寝転んだ。あたしの包まる布団の中に潜り込んで、あたしを抱き締める。もちろん、あたしの頭は撫でたまま。
「今日は特に何も無いからな、特別だぞ」
あなたの声にあたしはほんの少し微笑みながら、また深い眠りの淵へ落ちていった。
沈む直前のあたしの頭は、ぼうっと膨らむ。あなたの声が、感触が、暖かくあたしを包み込んで、あたしは眠りにつく。
ねえ、それって、まるで。
今朝食べ損ねてしまった、パンのようではありませんか。
あなたとパンになったわたし
(お昼の時計が声高く歌いだしても、あたしたちは目を覚ましませんでした)
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