300人突破 暗いお話(かな?)
200人はMEAT BALLさんリクエストのありすもどきでご勘弁くださいませ。
僕はまあ人並みには幸福な条件下に生まれて育って今ここにいると思っているから、特に自分に欠如したものがあるとは思っていない。けれども僕には何故か普通の、何の変哲も見当たらない一般人には無い感情、うん、そう言ってもそこまで違いは見当たらないだろう。それがある。僕はそれを生まれた時、正確に言えば物心ついた時から知っているし、それを不思議だとも思わなかったし、因みに今もそう思っていないし、その感情を忌むべきものだとも思っていない。外道? 残念だ。僕は自分が冷酷な、本当に体中を流れる血が凍っているかのような人間なのは知っているのだけれど、自らが外道だとは思った事が無い。自覚の無い外道。そんな名前は美しくなくて嫌いだ。純粋な狂気、とでも呼んで頂きたいね。兎にも角にもこのその辺りの頭が少し衰弱している人間とは少し違った感情を持っているのだ、僕は。
わらっているひとをみると、とてもかなしくなってしまうものでね。
僕はきちんと笑える。むしろ僕の顔立ちは整っているので、笑うとなかなか美しい。いや、そこらでごろごろ特に意味も無く生きているおばかよりもずっとずっと美しい。要するに僕が今言いたい事といえば僕はきちんと笑えるという事なのだ。僕は様々な表情が出来る。人が考えているよりもずっと。嬉しそうに、楽しそうに、哀しそうに、少し怒りながら、笑う事だって可能だし、涙だって流して見せるよ。でも僕は他人がしあわせ? 違うな、たとえそれがとても辛そうなのに無理やり、そっと、懸命に紡ぎ出された笑顔でも――僕は異常なほどの嫌悪を感じてしまうのだ。ああ嫌だ嫌だ嫌だ嫌なものを見てしまった。僕の目はこれはきっと腐って落ちてしまうんじゃないのかな? 目も頭も、それに何だか指と爪の間、あのくっついた場所がじんわり痛む。痛みは小さいけれど、それは切なすぎて、どちらかと言うと僕の柔らかで赤くて麗しい心臓がきゅうと締め付けられてしまうその苦しさの方が勝っている。なぜ、そうなるのかは、わからないけれど。
へんなひとだねと彼は笑った。彼女だったかもしれない。僕はその人の顔を見る事が出来なくて、それはその人が、笑っていたからで。にこにこ彼はいつまでも、笑い続けていた。僕の瞳からは透明な美しい滴がぼろぼろ零れた。泣き虫。その人は笑った。君が笑わなければ僕は泣かなくてもいいのに。早く笑い止んでくれないかな、僕にとって迷惑なのだ、君の笑顔は。いや、世界中の人の顔に張り付く「笑み」と言う感情が。僕には人の不幸を喜ぶ趣味はないし、勿論人の幸福を呪う趣味なんて、そんな腐った品の無いものなんて無い。けれど、本当に僕は生まれた時から笑顔を忌み嫌う存在だった、ただそれだけだったんだ。ねえ、世界中の人の顔から笑顔が消し飛んでしまえばいいのに。そうしたら僕はこの世界がとても好きになって、口づけさえ施せると思うんだ。僕は、世界を平和と愛だけが満ち溢れた素敵過ぎるものに変える、救世主にだって一瞬でなれるよ。
だから、ねえ、きみたちはわらってはいけないんだよ。
君は僕がそういってもまだ笑い続けているから、僕が渾身の力で殴った。
Yes, sir, yes, sir,
I love this world,
But I don't like this world
Because the people continue
Laughing all the time.
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