○月○日とか日記風味にしてみようとしたけれど失敗した地味な臨界突破
イエッサー今日も元気なハヤブサであったりする。
今日は俺の課(俺は捜査四課。ヤクザがお相手だぜ☆)とは違うのに交通規制に駆り出されていたりして上司ファック!憂鬱な気分なのである。
俺は本日何度目か知れない盛大な溜息を零した。
***
「やあブッサくん。今日も順調かな?」
「ブッサ止めろ」
どこか近くでイベントがあるらしく、道路は来るまでごった返していた。納得。範囲も広いし、こりゃ総勢でやらなきゃ交通規制なんざできないだろう。
アスファルトは太陽光と熱を照り返していて、その道路上に立つ俺たちの体温をどんどん上げていっている。交通課の奴らも大変なんだな。
「はー。今日はみんな、頑張ってるねえ。・・・どしたの? ヤブッサくん、浮かない顔だねえ。分かった、ツバメがいないからおもしろくないんでしょう。残念ながらツバメは今日は来ませーん。でもヤブッサが寂しがってた事はちゃんと伝えておいてあげるから」
「マジでやめてくれ様々なものを・・・」
コルリは大きな緑の瞳でこちらを見つめて、そう? と言った。
本当に勘弁なのだ。なんでこいつら呼ばれてもいないのにこんな所に来るんだよチクショー。イライラが募るばかりで一向に減らねえよチクショー。大体ヤブッサって何だよ。気持ち悪い未確認飛行体みたいじゃねえかチクショー。
「それはわたしが警察官総督だからなのであります。」
・・・うん?
今俺は心の声として読者の皆様にお届けしているのだよな?
だとしたら、だとしたら?
「何でお前人の心読めるんだよ!」
「オーイエス。答えは単純明快。私が主人公だからさ!」
人の心を読むのはどこの主人公にもなしえない技だったと思うぞ。
と俺が突っ込んでいたら後ろで巨大な音がした。
「あー、派手にやっちゃったねー」 のほほんとコルリが呟く。青い乗用車と大きなトラックのフロント部分が衝突して、へこんでいた。乗用車の運転席から若い男が飛び出して叫ぶ。
「きゅッ救急車ー!! い、いやむしろ警察!? 警察呼べー!!」
「ヘイそこのボーイ。いるぞー警察なら君の目の前に」
男に警察手帳を見せ付けて、俺は軽く男を威嚇した。「署までご同行願おうか」
「まーまーヤブッさん。そんなに睨みつけたら彼がかわいそーでしょーが。ハゲろ」
「脈絡がない脈絡が。何故そこで俺の脱毛に繋がるのかが見えない」
大体ヤブッさんって何なんだよチクショウ。あれっちょっとこれってデジャヴ。
「お黙りーヌヤブッサァァァァァ!! あの世で死ね!」
「二重苦か!?」
お黙りーヌって何だ!? と俺が突っ込む前に、コルリが撃った銃弾が俺の頬を掠めた。
間一髪で俺は避けたが、銃弾は先程の交通事故の若者に命中した。アレ?
「きゅッ救急車ー!! い、いやむしろ警察!? 警察呼べー!!」
「オイイイコルリィィィィィ!! どうすんだよてめええええ!! お前が警察官総督だよ!」
「嫌だーッ! あれは親同士が勝手に決めた婚約だったのよーッ!!」
「目を覚ませ! 寝たら死ぬそ!」
コルリは「駆け落ちしてやるううううう!!」と叫びながら宇宙の果てに消えていった。
待て。待て待て、待て。ウェイト! というより撃たれた男の容態は!?
しかし男はむくりと起き上がった。よく見ると腕に何かを抱えている。
「ふー、危なかった。どうにかこのカー●ルおじさんを盾にできたから良かったものの・・・」
「カー●ルおじさ―――ん!!」
安らかに眠れ、おじさん!
ファンタスティック・ハードボイルド
(第1話! 「きゅッ救急車ー!! い、いやむしろ警察!? 警察呼べー!!」)
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